結婚スタイル

夫婦の世帯分離とは?

2018/09/22

「世帯」という言葉を耳にしたことのある人は大勢います。

これはいわゆる生計を共にする単位のことです。恐らく二世帯住宅を思い浮かべれば、「世帯」という言葉を容易に理解できるでしょう。二世帯住宅は親とその子どもの家族が一緒に住める住宅のことです。親夫婦は単独で生計を立てて生活しています。その一方で子どもとその妻も親の収入には頼らず、別の形で生計を立てています。

つまり親夫婦と子ども夫婦は同じ家に住みながらも、それぞれがそれぞれの稼ぎによって生計を立てているのです。このような状況を二世帯同居というのです。

それぞれの世帯には必ず世帯主を設ける必要があります。多くの場合、夫が世帯主として登録されます。しかし興味深いことに、婚姻関係を継続させながらも夫と妻がそれぞれの世帯を持つことが可能なケースが存在します。このような状況を夫婦の世帯分離と呼びます。

そして二世帯住宅の存在が許されていることからも理解できるように、世帯分離した夫婦も一緒に住むことが許されています。しかし実際のところ、どの夫婦にも世帯分離が許されているわけではありません。

そもそもなぜ夫婦が世帯分離する必要があるのかと、この状況に疑問を抱く人もおられるはずです。しかし状況によっては夫婦の世帯分離がメリットをもたらすことがあるのです。ではこのシステムについて、もう少し詳しく見ていくことにしましょう。

夫婦世帯分離のメリット

世帯分離の概念

まずは夫婦の世帯分離がもたらすメリットについて見ていきたいと思います。このシステムがもたらす最大のメリットは、保険料の支払いが低くなることです。世帯分離するわけですから、妻にも収入がなければなりません。

しかしその収入がわずかである場合、世帯分離して世帯主となった妻が支払う国民健康保険料はわずかなものです。

さらに世帯分離した後、夫は妻の分の国民健康保険料を支払う必要はなくなります。そして夫婦で世帯分離した後、妻が支払う国民健康保険料と夫が支払う国民健康保険料の合計が世帯を共にしていたときよりも低くなることがあるのです。このメリットを考慮し、世帯を分離する夫婦がいます。

また高齢で介護が必要な配偶者がいる場合も同様です。介護サービスの利用料金や介護保険料などは、世帯所得の金額によって負担額の上限が定められます。当然のことながら介護が必要な人のほとんどはたくさんの収入が得られるほど働くことができません。
そのためそうした人が世帯主として独立するなら、介護サービスの利用料金や介護保険料などが安くなるのです。

しかし介護利用者が高収入を得ている場合、逆に保険料が高くなることがあります。そのためこの点に関するチェックは必ず行うようにします。

夫婦世帯分離の考慮点

上記で取り上げたようなメリットを生じさせる夫婦の世帯分離ですが、安易な考えで行うべきではありません。

まず考慮しなければならないのは、本当にこのシステムを利用すれば保険料が安くなるのかという点です。状況によっては妻が夫の扶養に入っている場合のほうが保険料の支払いが安いことがあります。国民健康保険を例にとって考えてみるなら、世帯分離を行った妻は夫の扶養から抜け、個人で保険料を支払わなければなりません。その支払額が高くなるようでしたら、世帯分離を行わないほうが無難かもしれません。

またこのシステムに関する決まりは地方自治体によって異なります。中には一度夫婦で世帯分離を行った場合、二度と世帯を共にすることができないという決まりを設けているところや、この状態を数年間継続しなければならないという決まりを設けているところもあります。そのためもし世帯分離を行った後に出費が多くなることがわかり、夫婦で一つの世帯に戻したいと思った場合でも、すぐにそうできないこともあるのです。

このシステムは主に介護が必要な配偶者を持つ人を助ける役割を果たしています。高齢化が進む日本では、お世話の必要なお年寄りがたくさんいます。しかし介護に必要となる費用は決して安いものではありません。そこで夫婦が世帯を別にし、介護に関わる支払いをできるだけ安くできるこのシステムが役立つのです。

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夫婦の世帯分離は容易なのか

ここまでで夫婦の世帯分離がもたらすメリットや、この制度を利用するにあたっての考慮点について見てきました。しかしこのシステムは簡単に申し込み、適用されるものなのかと疑問を抱く人がおられることでしょう。
実のところ、夫婦の世帯分離は簡単に適用されるものではありません。民法第752条には、「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」という決まりが設けられています。この決まりをベースに夫婦というものを考慮すると、世帯分離は適正ではないのです。

しかし上記でも考慮したように、世帯分離によって高額な保険料を支払う必要がなくなる人もおり、そのような場合はこのシステムが大きな助けとなります。そのため役所では夫婦の世帯分離を申し出る人の状況を慎重に考慮し、それがふさわしいかどうかを判断します。

世帯分離の手順

世帯分離の手続き

まず手続きは住んでいる地域に存在する役所で行うようにします。手続きに関する作業は決して難しいものではありません。しかし持参するべきものがいくつかありますので、これらを忘れないようにします。

まずは本人であることが確認できる書類です。運転免許証やパスポート、もしくは個人番号カードなどがそれに相当します。そして印鑑も持参するべきです。また国民健康保険を支払っている人は国民健康保険証と国民年金の支払いに必要となる通帳やキャッシュカードなどの持参が求められます。

そして実際の世帯分離の手続きですが、まずは「住民異動届」という書類を入手します。この書類に必要事項を記入して捺印し、提出します。記入の仕方ですが、新たに世帯主となる妻が行う場合、「新住所」の欄には前住所と同じものを記入します。

そして「新住所の世帯主」の欄に自分の名前を記入します。ちなみに「前住所の世帯主」の欄には、前世帯主である夫の名前を記入します。そして「移動する人」の欄には本人の名前を記入します。混乱しがちな記入に関しては以上です。何らかの事情により、この作業を本人が行えない場合は代理人を立てることができます。

しかしこの場合は代理人本人の証明書類、そして代理人であることを証明するものが必要となります。

世帯分離の位置づけ

夫婦で世帯を分けることと、離婚とは大きく異なります。なんとなくこの二つを混同しがちですが、要は家族として税金や保険料をまとめて支払うか、それとも夫と妻がそれぞれの収入に応じて支払うかの違いです。税金や保険料は所得に応じて異なってくるために、世帯を分離して夫婦が別個に支払いを行ったほうが良い場合もあります。

しかし収入や家族の状況は常に変化するために、このシステムを利用しようと思う人は慎重に事を進めるべきです。

また地方自治体によってこのシステムの受け入れ態勢は異なります。この点を理解し、「知り合いは容易に世帯分離できたので、自分も大丈夫」といったような安易な考えは避けるべきでしょう。夫婦の世帯分離をした後の支払いとそうでない場合をじっくりと考慮し、いざ申し込みを行うと、あっさりと断られたという状況に直面するならがっかりしてしまいますし、多くの時間を無駄にしてしまうことにもなりかねません。

先にも触れたように、世帯分離は婚姻関係に影響をもたらすことはありません。しかし慎重に決定するべき事柄であるのは確かです。そのためこの点をしっかりと思いに留めて行動するべきです。

もう少し専門的な見解、アドバイスを見たいという人は、下記太田哲二さんの本をチェックしてみると良いと思います。Amazonで中身検索ができますので目次などさらっと見てみると役に立つかもしれません。

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