パートナー・夫婦の変化 結婚スタイル

卒婚という夫婦にとっての人生の新しい選択肢。40代50代から検討する人が急増中?

今、夫婦の間で婚姻関係を続けたままでそれぞれに新しい暮らし方を選ぶ卒婚というライフスタイルが注目されています。

今回はこの「卒婚」について詳しく見ていきたいと思います。家庭円満がテーマの当サイトにとって対極にありそうなキーワードですが、新しいスタイル、選択肢として理解しておくことで役に立つ事もあるでしょう。


熟年離婚が増えているのはなぜ?

卒婚という夫婦にとっての新しい選択肢

日本では長年連れ添ってきた50代以上の夫婦が婚姻関係を解消して第二の人生を歩もうとする熟年離婚が増えていると言われています。

熟年夫婦が抱える悩みの正体

熟年離婚

熟年離婚する夫婦は増加傾向にあると言われています。結婚して子供が生まれ、やがて子供が独立した後、夫婦で向き合って見た時に、妻は自分に何が残っているのだろうと強い虚無感に襲われると言われます。

これまで妻が発作的にこのままではいけないと夫の元を飛び出そうとする、いわゆる妻の反乱ともいえる状態が一般的だと考えられてきました。

そのため、夫が仕事で家を留守にしている間はまだいいのですが、夫が退職して家にいるようになった後、これからの自分の人生をずっと家事と夫の世話に明け暮れるのか…といういわば絶望感にも似た気持ちが生まれ、そこから這い上がりたい一心で離婚を切り出す人が増えると考えられてきたわけです。

でも、実際には妻の側のそうした意識だけではなく、熟年離婚は今や夫婦どちら側から切り出すこともあるようになっています。それはいわば夫婦それぞれに求められる役割が、時代とともに変化したことも関係していると思われます。

夫婦それぞれの役割に対する古い価値観

熟年の古い価値観

女性は結婚を機に寿退社をして、夫に尽くして家事や育児を一手に担う存在という古い価値観は、今でも根強く残っていると言われます。

でも、これは夫が定年まで同じ会社に長く務める事が出来、めでたく定年退職した後には豊かな年金生活が待っている場合に成り立つことです。

終身雇用で会社が生涯にわたって生活を保障してくれる時代はすでに終わり、今やどんな一流企業であってもいつ何時雇用調整の対象になるかわからない時代です。そんな時代を嘆くのではなく、その時代に合わせて逞しく自分たちのライフスタイルを変えていかない限り、生き残れない時代になったとも言えます。

だからこそ一流企業に勤める夫を持つ主婦でも、自分の仕事は確保しておく気持ちは持ち続ける必要があります。夫婦二人で仕事を持つのが当たり前の時代には、当然ながら家事も育児も夫婦で分担しなければ生活が成り立ちません。

でも、現在熟年以降の人々はまだ夫は仕事、妻は家庭を守るという価値観に縛られている人が少なくないし、実際にその役割分担によって家庭の平和が保たれてきたことも確かです。

そんな役割分担によって守られてきた家庭の平和が夫の定年退職と共に崩れ去るのは、ある意味少し予想の付く展開であるとも言えます。

夫婦二人だけになって改めて知る事

二人になってわかること

子供が独立し、夫婦二人だけになった時、自分たち夫婦にはこんなに話題がなかったのかと愕然としたという話をよく耳にします。子は鎹ということわざがありますが、子供の話題がなくなると、夫婦の会話がめっきりと減って時間を持て余してしまうと言う事がその理由のようです。

でも、そのことはそれまで夫婦二人で力を合わせて子育てをしてきたことの当然の結果だと割り切る必要があります。恋人同士のように相手のことをもっと知りたいというときめきを伴う想いを、長年連れ添ってきたパートナーに求める方がむしろ無理があります。

話題がなくなったから一緒にいるのが気まずくて心が落ち込むという人がいるとしたら、それは夫婦とはこういうものという確固たる理想があって、自分のパートナーが全くその理想に沿っていない事からくる勝手な落胆が原因かもしれません。

長年勤めた会社を定年退職して家でゴロゴロしている夫にときめきを感じろという方が無理があります。それまで少なくても昼間夫が仕事に行っている時間帯は、妻は自分だけの時間を享受できていたのに、24時間夫と一緒の時間を過ごすことになれば絶望感と共にこれまで見えてこなかったパートナーの嫌な部分ばかりが目についてしまう事に陥りかねません。

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卒婚という新たな夫婦の形

夫にあるいは妻に離婚を切り出すのではなく、卒婚という新たな選択が注目されています。

離婚することと卒婚という形を選ぶことの違い

熟年の歩く姿

自分の人生よりも夫や子供など家族の幸せを優先にするのが美徳と信じてきて来た妻が、この先一生涯続く夫の身の回りの世話から自由になるためには離婚しかないと考えられてきました。

そのことがいわゆる熟年離婚が増加したきっかけではあったのですが、熟年離婚がもたらす様々なデメリットにも注目されるようになりました。

卒婚という新しい形は婚姻関係をつづけたままでお互いが相手に頼ることなく、人生の第二のステージをできる限りそれぞれに好きな事をして自分のために生きていこうとするものです。

そしてパートナーとの関係が基本的には良好な場合に限って成立するのが卒婚です。夫婦が別居して生活するとなると離婚を前提としたもので相手との関係を断つために別居するのが一般的です。

卒婚は相手との関係を保つために別居という形をとるもので、離婚と卒婚との根本的な違いはこの点にあります。

離婚事情についてもう少し詳しく見ておきたいという方は、「離婚の原因トップ10。夫、妻からそれぞれ見た時の理由を知っておこう。」の記事が参考になると思います。

卒婚にもスタイルによる違いはある

シニアのライフスタイル

卒婚するには足別居というスタイルをとらなければと考えがちです。もちろんパートナーから自立した生活を送るためには別居するのが最も確実で自分の思った生活を手に入れやすいのは確かです。

でも、別居するにあたっては当然ながらそれなりの金銭的な負担が求められます。自分たちの今後の長い老後のことを考えれば、無駄な出費は抑えたいというのが本音でありごく自然のことだとも言えます。

中には別居せずに同居したまま卒婚という形をとる夫婦もいるようです。同じ家に住みながらそんなことができるくらいなら、卒婚など考えないという人もいるでしょう。

経済的なメリットを考えれば同居したままで卒婚が実現できるのはある意味理想的なのかもしれません。同居しながら卒婚をしようとしたら、お互いの生活に干渉せず、お互いの生活をそれぞれに尊重して生活することが基本になります。

例えば食事や洗濯などはそれぞれに自分で行う、共通部分にかかる労力や生活費の分担などはお互いに納得できる形でルールを決めるなどが必要になります。つまり同じ卒婚でも同居したままのスタイルで卒婚を実現しようとするときには、シェアハウスの同居人のような感覚を持つ必要があるのかもしれません。

また、卒婚を意識されているのであれば、「事実婚」についても見ておくと理解が深まるかもしれません。

卒婚した後の生活はどう変わる?

卒婚後のライフスタイル

別居して卒婚を実現しようとすれば、卒婚した後の生活でまず大きな変化がお金がかかるようになる事です。よほど経済的にゆとりのある人なら別ですが、ごく普通の人が夫婦単位の収入が増える事のない中で、同居していた時と比べて生活費の負担割合が増えるわけですから経済的には困窮することになります。

そしてそれと引き換えに自由に使える時間が増えます。自分のために使える時間が大幅に増える事で、これまで家事を一手に担ってきた女性にとっては思い描いていた自分だけのための自由時間を手にすることになります。

一方これまで妻に家事の全てをゆだねていた男性にとっては生活の根本から学びなおしになる可能性も出てきます。

もちろん卒婚を機に家事に目覚めて一気に独立した生活を充実させられる男性もいますが、卒婚してみたことで家事の大変さに気づいて、妻への感謝が芽生えたという人もいる事でしょう。

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卒婚を成功させるためにこれだけは守りたい事

離婚ではないからと気軽に卒婚を選んでしまって後悔しないために、これだけは守っておきたいというポイントがあります。

卒婚で法律上の問題を起こさないために

笑う熟年女性

卒婚は離婚することと違って夫婦間で結婚の形が継続された状態なので、当然ながらルールも存在することを認識する必要があります。

例えば卒婚を実現して一人になった夫に新しいパートナーが出来て最終的に離婚を迫られた場合、妻の方は離婚でなく婚姻が続いた状態の卒婚だからと安心しているわけにはいきません。

いくら妻が離婚ではないと言い張っても長く別居を続けていれば裁判所では婚姻関係が破たんしていると判断されて、離婚が認められてしまう場合もあります。

そして財産分与でも卒婚はとても微妙な問題をはらんでいる関係です。卒婚後に手にした財産は夫婦共有の財産ではないとみなされる可能性もあるため、後々揉め事に発展しないためにも、卒婚前にできれば弁護士立会いの下でお互いの取り決めを書面で作成しておくのがおすすめです。

いわば終活の一環として卒婚を考える

終活の一環として

世の中には終活に関する様々な情報が溢れています。自分が死んだ後のことを生前にあれこれと決めごとをしておいたり、自分の死後の希望を記しておくなどがいわゆる終活です。

子育てを終えた夫婦のこれから先の生き方を決めるためのまたとない機会ととらえ、感情的に卒婚を選ぶのではなく、老後のお金のことやお墓のことなどについて話し合う機会にすることです。

もちろん終活として卒婚を実現させても、その後で内容を見直すことはあって当然ととらえ、その都度夫婦で話し合うきっかけにするのが理想なのかもしれません。

離れてみて良さがわかる事もあると割り切る

一人でお茶を飲む

卒婚を実現して夫と妻がそれぞれに独立した暮らしをしてみる事はけして悪い事ばかりではありません。もちろん経済的な負担が大きくなるなど、卒婚を実現することのデメリットもたくさん見つかる事でしょう。

そして、夫婦のターニングポイントとなる卒婚を思い描いた通りに実施してみた結果、お互いに距離を置いたことでかえってお互いの良さに気が付いたと言う事があっても不思議ではありません。

夫婦二人にその思いが共通で見つかった時には、いくら頑張って卒婚を実現したとしても、再び卒婚を解消して同居生活を始めるという選択をすることも当然考えられます。

そんな時どちらか一方がひたすら我慢を強いられるのではなく、夫婦それぞれの思いが一致したときにその選択をすることが大切です。なかなかすべてがお互いの希望通りにうまくいくことは難しいかもしれません。それでも卒婚という新たな夫婦の形を一度は選んだことで、夫婦関係を見直す素晴らしい機会を得られたのだと前向きにとらえる事が大切です。

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