二世帯住宅にしたくない時の対処法とメリット・デメリット
家を建てようという話をしていて、或る日夫から「二世帯住宅にしよう」と言われると、ビックリすることでしょう。
夫にとっては元々家族ですから何の抵抗もないのですが、妻にとってはいきなり他人と生活を共にすることになり、限りなくストレスを感じてしまいます。
「二世帯住宅にしたくない」そう思った時にうまく断る方法はあるのでしょうか。
また、断りきれなかった場合に最小限にストレスを減らす方法と、二世帯住宅のメリット・デメリットについても知っておきましょう。
目次
二世帯住宅は一昔前までは当たり前の形式でしたが、近年はどんどん単独世帯化が進み、あまり見られなくなってきています。
実際、親や義理の親と同居するとなるとマイナスイメージを持ってしまうという方が多いみたいなんですね。
そこで今回は、二世帯住宅のメリットとデメリットをしっかり見直してみて、その上で二世帯住宅で上手く付き合っていくためのヒントをお教えします。これから結婚を考えている方等にとって必見の内容となっているので、是非チェックして今後に役立ててみてくださいね。
二世帯住宅のメリット・デメリット
「二世帯住宅」という言葉を聞いて不安と悩みを抱えている女性も多いことでしょう。
漠然と不安を感じるよりも、具体的にメリット・デメリットを把握した方が落ち着いて対策を考えられる様になります。
二世帯住宅のデメリット
最もモヤモヤとするのがデメリット部分です。二世帯住宅にするデメリットとして最も代表的なものは以下の通りです。
世代間ギャップ
双方の関係性にズレを感じてしまいギクシャクしてしまう主な原因はこちらです。生きてきた時代が異なり、日常生活では通常触れ合うことのない世代同士ですからやはり、様々な面ですれ違いが発生してしまうのです。
料理や掃除、お洗濯など昔は当たり前だったことができなかったり、そうしなかったりということが親世帯にとっては気になってしょうがないのです。関係性的には上の立場である親世帯が、そうして日常で生じた小さな不満についつい口を出してしまい、トラブルに発展してしまうことが少なくありません。
逆に昔は当たり前だったことが現在はタブーである場合も多く、良かれと思って手伝ったことでお嫁さんにストレスが溜まってしまうこともあります。とにかくこの世代間ギャップというものは、同居する上で大きな問題となりやすいのです。
プライバシーを保てない…
完全同居型の二世帯住宅の場合、プライバシーが保てずに悩んでしまうこともあるでしょう。毎日食卓等で顔を合わせることになるので、夫婦や夫婦家族だけで話をしたり遊んだりする機会が少なくなってしまいます。
共有スペースの多い住宅であればあるほど、その傾向は強く自由が少ないことにストレスが溜まってしまいがちです。特に、義理の娘や息子にあたる立場の方は、特に居心地が悪いものがあり参ってしまうというケースは多々見られます。
二世帯住宅を選択する際は、本当に友達のように仲がよい関係でもない限り、世帯別に食卓を持ったり個室をそれぞれ設けたりと、ある程度離れてプライバシーを確保できる空間を作っておくことが大切です。
親子のきずなの強さ
親子の仲が良い事自体は非常に良いことなのですが、二世帯で暮らしていく上では思わぬ障害となってしまうことがあります。
特に母と息子があまりにも仲が良いせいでトラブルがもたらされるケースは散見されます。母親にとって息子はかけがえのないいつまでも可愛い我が子ですから、どうしてもお嫁さんのことを敵視してしまうのです。こうして結婚当初から嫉妬心を含んだ悪い関係で始まってしまうことで、同居する中でその環状が増長し、嫁いびりに発展してしまうというわけです。
また、こういったケースとは逆に夫のほうが母に甘えすぎてしまう、いわゆるマザコンであるという場合もみられます。こちらはこちらで厄介で、事あるごとに母親に相談したり頼ったりするので、夫婦の問題についても母親が大きく権限を握ってしまうようになるのです。
こういった事態を防ぐためには、予め義理の両親とはある程度関係を築いておくこと、相手の実家における素性を確かめておくこと、嫁の両親との同居を考える等の方法が考えられます。
夫婦の寝室に義両親が立ち入る
二世帯住宅のデメリットとして最も大きいのが、「夫婦の寝室に義両親が立ち入る」という点です。これは、悪意があってものではなく、単に義両親が部屋を掃除してあげようとか、何かの折りに夫婦の部屋にあるモノが必要になった時などに立ち入ることも含みます。
義両親にとっては家族ですから何とも感じないのですが、妻の立場から見れば寝室には夫婦だけの秘密のモノもあったりするので、自分達のプライバシーが侵害されたと感じるのです。
また、部屋に入らなくても、夫婦の行動を細かくチェックされているというケースもあります。義両親がカレンダーや手帳に細かく、夫婦の行動をメモしていて「先週の日曜日は○○に出かけて〇時に帰ってきた」などと言われると良い気持ちはしません。
その様なことが続くと、外出する時にも「何処へ行くの?」「何時に帰るの?」と訊かれるだけで精神的に大きな負担になってきます。
また、リビングは家族だんらんの場ですが、リタイヤした義両親の場合、圧倒的にリビングに居座る時間が長くなります。その為に妻がせっかくリビングにいても、好きな格好で好きなテレビを見ることができずに、リラックスできないばかりか居場所がなくて息詰まってしまう様になるのです。
二世帯住宅では上記が理由で妻が精神的に追い詰められてしまい、別居や離婚に発展するケースも多くあります。
姑・小姑問題に関しては別記事で対応策を紹介していますので是非そちらもご確認ください。
以上が二世帯住宅におけるデメリットとなります。これだけ聞くとやっぱり大変そうだな…と思ってしまうこともあるかもしれませんが、これらのデメリットを帳消しにしてくれる良い面も二世帯住宅には備わっているのです。
それでは次に、二世帯住宅のメリットについて確認していきましょう。
二世帯住宅のメリット
最も重たいデメリットについて紹介しましたが、以下は二世帯住宅のメリットについて紹介します。
実際に二世帯住宅を経験した女性の多くが「良かった」と感じている点についてです。
今やマイナスイメージが強くなってしまった二世帯同居ですが、うまく関係を構築することができれば良い面もそれを帳消しにしてあまりあるくらい存在しているのです。経験豊かな家族は本当に心強い味方となりうるのです。この項目では、二世帯住宅におけるメリットについて解説していきます。
留守が任せられる
夫婦共働きの場合、完全に留守にしないで済むので、防犯効果があります。
宅配便が来た時にタイムリーに受け取ってくれたり、洗濯モノの取り込みやゴミ出し、郵便物の発送など、日中にできない雑用をお願いできるというのは大きなメリットです。
また、家というのは人がいてこそ空気が循環して劣化を防ぐことができます。
住宅を長持ちさせる為にも、二世帯住宅は効果的なのです。
子育てに協力してくれる
子供がいる夫婦にとって最も大きなメリットです。
夫婦共働きの場合、保育園に入れなくても義両親がいれば幼稚園に入れることができます。
毎日の送り迎えから、急に熱を出した時に迎えに行き、病院に連れて行ってくれます。
残業になっても面倒を見てくれて、ご飯を食べさせてくれてお風呂にいれて寝かしつけてくれるという正に「ベビーシッター」としてなくてはならない存在です。
夫婦が安心して仕事に専念できることで非常にありがたいという意見が圧倒的に多いのです。
生活費を節約できる
経済面でも二世帯住宅は有利な面ばかりです。特に家族が増えれば増えるほど、一人あたりの食費や雑費は安くなっていきます。食材をおすそ分けしあったり、お下がり譲り受けるなどすることで、双方にメリットが生じるのです。
また立場上、可愛い我が子や孫のために、外食やレジャーなど様々な場面でお金を出してくれることも多いです。そんな時は変に遠慮するのではなく、気持ちよく感謝の気持ちを伝えて相手を良い気分にさせることが大切です。
みんなが笑顔になると誰も嬉しいものですから、お互いに経済面でも気持ちの良い関係を築いていきたいですね。
光熱費が削減できる
当然のことですが、2つの世帯が独立して生活をしているよりも、二世帯住宅の方が建物が1つになる分エネルギーの消費量が少なくなります。
特に電力を必要とするテレビや冷蔵庫、エアコンなどを共有して使用していたり、水道料金やガス料金かかるお風呂のバスタブを共有していると、光熱費を抑えることができるのです。
相続税を減税できる
意外と知らない二世帯住宅のメリットとして、税金面でもメリットもあります。
二世帯住宅には相続税法での「小規模住宅地等の特例」が適用されます。
これにより、被相続人(義両親)名義の土地を、同居している子供が正式に相続して、申告期限までに継続して住み続けていれば、評価額が最大80%まで減額されます。
評価額が低く抑えられれば、それだけ相続税も少なくなるのです。
リフォーム時に減税できる
中古住宅を購入後、二世帯住宅にリフォームをすると、不動産取得税がかかるのですが、二世帯住宅ならば一定条件を満たしていれば、控除額が2倍になります。
固定資産税も減税できる
固定資産税は、1世帯当たりの所有面積で決まってきます。
2世帯住宅の場合「小規模住宅用地」ですので、より安い金額が適用されます。
税制面での優遇措置は、原則として2世帯が独立していることで、同居ではなく「二世帯住宅」として認められる必要があります。
精神的な助けとなる
人生経験豊富な人物が家庭にいることは、精神面でも大きな助けとなってくれます。何か深刻な事態に陥ってしまったり、重大な選択を迫られた際には、その経験から適切な道を指し示してくれます。日常生活の中でも頼れる身内がいるということから安心感が生じ、家庭全体が活気づくことでしょう。
また、親世帯側にとっても精神的なメリットは非常に大きいです。高齢の夫婦だけもしくは一人でくらしていくことで、どんどん精神的な劣化が進んでしまいます。若さがあって活気のある家族の輪の中で過ごしていくことで、どんどん生活にハリが生じていつまでも若々しくいられるのです。
以上が二世帯住宅における3つの大きなメリットです。このようにいつも良い関係性を保つことができれば、デメリットがほとんど感じられずメリットばかりの環境でお互い過ごすことができるのです。それでは、そんな生活をおくるために、二世帯家族で上手くやっていく方法についてのヒントをお教えいたします。ぜひ、これからの毎日に役立てていってくださいね。
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二世帯住宅にしたくない時の断り方とは
二世帯住宅を持ち掛けられた時に、ただ「嫌だ」では誰も耳を傾けてはくれません。
どうしても嫌な場合に上手く断る方法について紹介します。
早目に意思表示をする
二世帯住宅にする場合、先に「家を建てようか」「家をリフォームしようか」という話から入る筈です。
或る日突然夫から「二世帯住宅にしよう」と言われることはまずありません。
または、普段の会話の中で介護の話題が出た時に「そろそろうちも考えなきゃなあ」などという会話も聞き逃さない様にします。
まだまだ会話が真剣みを帯びていないうちに「No」の意思表示をしておくことが大切なのです。
但し、この時「面倒をみたくない」「嫌い」「一緒にいるとうっとおしい」など、ネガティブなことばかり言うと一気に夫婦ゲンカに発展してしまう可能性があります。
上手な言い方としては
「ウチはこの距離感でうまくやっていけてるからねえ。二世帯住宅よりは近場に住む方がいいね」
「今はまだとても考えられないから、またその時に考えたいな」
と言うのがベストです。
すぐに決断できないと言う
共働きで仕事をしている場合、自分なりの生活パターンがあり、それが崩れると大きなストレスになってしまうと言います。
「ライフスタイルが大きく変わるし、それにより仕事へも影響が出る可能性があるので、すぐに決断できない」と言います。
仕事をしている間は二世帯住宅の話は出てこないでしょう。
通勤時間を理由にする
義両親が二世帯住宅にリフォームするから「同居してほしい」と言ってきた場合には、通勤時間を理由にします。
「通勤時間が格段に長くなって、身体にも負担がかかるので、今は考えられません」と言います。
通勤は毎日のことで、しかも残業が多い点などもアピールしましょう。
子供の習い事を優先する
こちらも義両親から二世帯住宅を持ち掛けられた場合に使えます。
「子供を転校させたくない」「子供の習い事の為には今の環境が必要」と言えば、無理強いはされないでしょう。
情に訴える
それでも夫と義両親の両方から二世帯住宅を持ち掛けられた場合、はっきりと本心を伝えるしかありません。
義両親がどうのではなく、「自分が無理」という方向に持って行きます。
「気を遣い過ぎてストレスが溜まって、精神的に不安定になるかも知れない」
「今は良好だけれども、毎日顔を合わせるとやっぱりぶつかる面も出てくるから怖い」
「自分達のペースに合わせなくてはならないので申し訳ない」
「だからどうしても自信がないので、ごめんなさい」
と伝えるのです。
但し、どう伝えるにしても、将来的に介護が必要になった時には面倒を見る、という姿勢を見せることが大切です。
「将来的に義両親の面倒を見なければ」という意識はあることをアピールしておきましょう。
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どうしても二世帯住宅にしなければならない場合
それでも「どうしても」と頼み込まれてしまったり、或いは夫がほぼ独断で二世帯住宅を決行してしまうこともあるでしょう。
そんな時には、少しでもストレスを減らす為に以下の様な方法があります。
玄関を別々にする
これは建築前、或いはリフォーム前に根回しをしておく必要があります。
二世帯住宅の玄関を別々にすることでストレスが軽減できるのです。
玄関が同じだと、出掛ける時に見られてしまい義母から「どこに行くの?」と訊かれてしまいます。
上手く出掛けられても靴がないことから「出かけたのね」と思われるのも嫌でしょう。
好きな時に出かけられるというのは限りなく自由を感じる行為なのです。
また、義両親に友達が多い場合には、毎日の様に人が出入りするので、気になって仕方ありません。
更に通販で頼んだ品物を受け取って貰えるのは良いのですが、普通に差出人や品名をチェックされます。
ダイエット食品や下着を購入した時に受け取られるのも嫌なものです。
玄関は別々にして、お互いの出入りが目に入らない様にしましょう。
キッチンを別々にする
キッチンは女の城ですので、まず共有は無理です。
キッチンと同じにすると、最初のうちは料理を教わりながら楽しく過ごしているのですが、段々と自分のやり方ができなくてイライラしてきます。
義母が良かれと思って作ってくれた料理でも、自分が食べたいと思わないと返って重荷になってしまいます。
そのうちに顔を合わせて食事をするのも苦痛になってきます。
セカンドキッチンを作っておくか、自分達のスペースを作って冷蔵庫を置く位はしておきましょう。
同居の場合、義両親と夫婦で別のメニューを作るのが面倒、という意見もあります。
二世帯住宅にしたら、最初から食事は別々に作る、というルールを決めておいた方が良いでしょう。
インターフォンを設置
二世帯住宅では、義両親と夫婦の専用スペースを決めておくことが大切です。
そして境目にドアとインターフォンを設置して、連絡をしてから行き来すればかなり楽になります。
急に義両親が寝室に入ってくることなどが防げるし、インターフォンなら「今着替え中ですのでご用件は?」と断ることもできます。
嫌なことははっきりと断る
義両親から頼まれごとをされることもあるでしょう。
その時には嫌なことは最初からはっきりと断ることが大切です。
自分のやりたいことや予定をキャンセルしてまで義両親に付き合っていると、長持ちしません。
その際には「ごめんなさい、ムリです」と言うだけではなく、「来週ならば大丈夫ですけど」と代替え案も出しましょう。
二世帯住宅にしたくないという気持が募ると、妻が別居してしまったり、最悪離婚の危機になってしまう可能性があります。
断れるものならギリギリまで断り、どうしても二世帯住宅にされてしまったら、メリットを最大限に活用して、かつ距離感を維持してストレスを溜めない様にしていきましょう。
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二世帯家族で上手く付き合っていくための3つのヒント
二世帯住宅はしっかりと良い関係を築くことができれば、デメリット以上にメリットが大きい環境となります。そこで、二世帯で末永く上手く付き合っていくためのヒントをここでは解説してきます。
最初は近すぎず遠すぎない関係を心がけよう
お互いに友人や真の家族のような関係を築くことは本当に理想的です。
しかし、実際にニ世帯間でそのような関係を構築できることはまれであり、皆がそんなことができていたらニ世帯住宅がここまで嫌厭されることなどなかったはずです。そういった関係を将来的に築いていくことを目指しつつ、同居当初は近すぎず遠すぎない関係を心がけてるようにしてみてください。
というのも二世帯住宅でトラブルが起きてしまう主な原因は、互いの距離が近すぎることにあるからなんです。元々は赤の他人である存在がいきなり親密になろうとしても、互いの悪いところばかり目についてしまうのは明白なのです。ですから、同居し始めの段階では食卓は分けたり、プライベートな空間を維持するなどして、ある程度の距離を保つようにしましょう。真の意味で仲良くなるのは、お互い同居する状況になれてからでも全く遅くないのです。
あいさつは忘れずに
少しでも両者の関係を良いものにしていきたいのであれば、まずは毎日あいさつすることから始めましょう。あいさつは会話の取っ掛かりになり、なんでもない会話をあいさつをきっかけにして毎日重ねていくことで、だんだんとお互いのことが理解できるようになります。
中でもキーとなるのが、おはようという朝の挨拶と、おかえりただいまという帰宅時のあいさつです。前者は一日の始まりを一緒に迎えて円滑な会話を始めることに役立ちます。後者は、相手の疲れやストレスを和らげて関係を丸くつないでいくことに役立ちます。意識的にこれらのあいさつを発して、親世帯と上手く付き合っていきましょう。
互いに思いやりを持とう
同居するにおいても最も重要であるのは、お互いに思いやりの気持を持つということです。またそうした気持ちを思うだけでなく、毎日しっかりと言葉にすることが大切です。
ありがとうとしっかり相手に感謝の気持ちを伝えることで、相手を嬉しい気持ちにすることができます。
また、相手に送った言葉は周りに回って自分に帰ってくるので、結果的に笑顔溢れる家庭を築くことができるのです。ぜひ親世帯が自分たちのために行ってくれたことには、どんなに些細なことでも感謝してあげてください。
同時に相手を褒めることで、その関係性をぐっと良いものにすることができます。感謝されて褒められて悪い気持ちになる人なんていないので、どんどん相手を気分よくさせてあげて仲の良い二世帯住宅ライフを送っていってくださいね。