高校を辞めたいと切り出した息子とどのように向き合うべきなのか
急に息子が高校を辞めたいと告げてきたとき、親としてどのように向き合うべきなのか悩むのではないでしょうか。
親としては学歴の大切さを分かっている一方で、本人の意思も確かめたいはず。しかし、「高校を辞めたい」という主張には様々な理由が隠されています。
目次
「高校を辞めたい」を言葉だけでとらえないように
息子さんが「高校を辞めたい」と告げてきた。
この場合、素直に言葉だけで判断するのは早計です。
なぜなら、この言葉には他にも意味が含まれている可能性があるからです。
学校がつまらないから息子さんとして親に構ってもらいたいのか。あるいはただ単に嫌なことがあったので、現実逃避的に「辞めたい」と口走っているのか。
あるいは本当に辞めたいのか。
他にも様々な理由が考えられますが、まずは息子さんが何を考えているのか、正面から向き合って冷静に話し合いましょう。
ここでポイントになるのが「辞めるのだけは許さない」という姿勢を見せない点です。
高校生の息子さんは思春期真っ只中です。
親に甘えたい一方で、素直になれない時期なので、「辞めるのは許さない」という姿勢を見せると、ますます辞めたい気持ちになります。
これでは悪循環です。
親御さんにとっては高校を辞めるデメリットなどいくつも理解しているだけに、理屈で高校退学を思いとどまらせようとすることでしょう。
おそらく親として投げかけるその言葉は、社会的に見ればどれも正論かと思います。
息子さんが理論的に反論できるかと言われれば、おそらく出来ないでしょう。
しかし、じゃあ正論で説き伏せたら息子さんが高校を辞める意思を捨てるかといえば、それはまた別問題です。
高校を辞めたいと告げてくるのは、息子さんにとっては何かを意味しているのです。
その「何か」を親として察知しなければ、どれだけ正論を投げかけたとしても、息子さんとしては「そうじゃないんだよな」にしかなりません。
息子さんに喋らせましょう
息子さんが心配だという気持ちもあれば、正直な所、親としての面目もあるのではないでしょうか。
むしろあって当然です。教育にさほど力を入れていないとしても、せめて自分の息子には高校、大学と進学してもらいたいと思っている親御さんは多いです。
それがです。「高校を辞めたい」と告げられるということは、息子に抱いていた自分の気持ちを無碍にされているも同然なので、とにかく何としてでも子供には学校に通い続けてもらいたいとの思いから、切々と説得を試みるかと思いますが、それよりもまず息子さんに喋らせましょう。
甘えたいだけであれば、自分の話を聞いてもらうことで納得し、気持ちを翻してくれるかもしれません。
どうしても「高校を辞めないでもらいたい」との気持ちを息子に押し付けてしまい、息子の話を聞くよりもどうしても自分の意志を相手に伝えることばかりを優先してしまいがちですが、まずは息子の話に耳を傾けましょう。
聞き役として、息子が胸の奥に抱えているものを全て吐き出すまでとにかく息子の話を聞きましょう。
甘えたい場合はこれだけでも問題解決になるケースもあります。
スポンサーリンク
息子の話を聞く時は否定をしない
息子さんの話を聞く際、「それは違う」「それは勘違いだ」といった、相手の言葉を否定するような相槌は控えましょう。
なぜなら、そういった否定的な言葉は息子さんのアイデンティティを壊します。
高校生はとても純粋な時期です。大人が何気なく放った言葉をより鋭敏に捉えてしまいます。
親として「そうじゃない」と告げただけでも、本人にとってはまるで人格そのものを否定されたのではないかと思う程ショックを受けることもあるのです。
親として、人生の先輩として分かっていることは多々あるからこそ、実体験や社会常識に基いた価値観で判断し、息子に対して言葉を投げかけるかと思いますが、それこそが問題です。
先に「息子さんと向き合うべき」とお話しましたが、社会常識等に基づく言葉は、息子さんとではなく、社会としか向き合っていません。
もちろん常識は大切なことですが、息子さんと向き合うのであれば、社会通念を後回しにし、息子さんがい現在どのようなことを考えているのかや、辞めて何をしたいのか。その点まで優しく聞いてあげるべきです。
頭ごなしに「考え方が甘い!」「辞めたら挽回できないんだぞ!」と言った言葉は、確かに間違いではありませんが、高校を辞めたいと告げてきた息子さんにとっては、それらの社会通念よりも、まずは自分の言葉に耳を傾けてもらいたいのです。
選択肢をポジティブに考えましょう
やはり親としては高校を辞めて何をするのかが気になるかと思いますが、その点もちゃんと息子に話してもらいましょう。
もしもですが、ネガティブな理由ではなく、本当に他にやりたいことを見つけ、やりたいことが学歴を必要としないものであれば快く送り出してあげるのも良いのでしょう。
それでも親としては「高校くらいは…」との思いもあるはず。
高校時代は一度きりなので、高校生活を楽しんでもらいたいと思う親御さんの気持ちもよく分かります。
しかし、高校卒業という学歴は通わなくても取得できます。
通信制や定時制など、全日制だけではなく他にも選択肢があります。
例えばスポーツなどをより集中したいから高校を辞めたいと申し出た場合、通信制の高校に入学することを条件にしてみるのも良いでしょう。
通信制の高校はネットを使うことによって、ほとんど通学することなく、自分の学習だけで卒業出来ます。
楽しいかと言われれば、全日制の学校のように学校帰りに仲間とお店に立ち寄ってワイワイしたり、友達と他愛のない話をしながら楽しんだりと言ったスクールライフは送れないケースの多いでしょう。
しかし、卒業すれば「高校卒業」になります。
前向きに、本当にポジティブな気持ちで高校を辞めたいと告げてきた息子さんには、「その代わり通信制の高校に入学して、せめて卒業することを約束して欲しい」と約束を持ち掛けることで、息子さんの意志と親御さんの意志の双方を叶えられます。
スポンサーリンク
やりたいことがないけど、学校が嫌で辞めたいというパターン
先の項のように、何かしらやりたいことがあるからこそ高校を辞めたいのであれば、親としてもさほど心配はないでしょう。
もちろん高校くらいは卒業してもらいたいとの気持ちはあるとは思いますが、通信制という選択肢や、他にやるべきことがあるので露頭に迷うこともありません。
一方、親御さんとして真剣に考慮しなければならないのが、他にやりたいことがある訳ではなく、とりあえず現実逃避的に学校を辞めたいケースです。
いじめかもしれませんし、学校そのものが嫌というケースも考えられます。
受験に失敗し、滑り止めの私立に入学した場合、プライドの問題もあるでしょう。このようなネガティブな理由の場合、簡単に「じゃあ辞めなさい」とは言えないものです。
新しい選択肢を用意してあげましょう
ネガティブな理由で高校を辞めたいと告げられた時、親としてというよりも一人の人間としてどのように対応すべきかで悩まされるのではないでしょうか。
ここで大切なのは、頭ごなしに「そんな理由は認めない」と突っぱねることです。
息子さんなりにいろいろな理由があるのです。大人にとっては下らないと思える理由でも、息子さんにとっては大きな問題なのです。
親としての常識だけで考えるのではなく、息子さんの言葉に耳を傾けながら、言葉のその奥にある本心に気付けるよう留意しましょう。
子供の言葉を、言葉だけで受け止めてはなかなか真実には気付けません。
辞めたいのは高校生なのか、それとも学校なのか。他の学校であればやる気が出るのか、それとも学生そのものを辞めたいのか。
これらは息子さんの言葉に耳を傾けながら、聞くべきことは聞いて答えにまで導かなければなりません。
まだまだ高校生なので、理路整然とメリット・デメリットだけを上手く話すことも難しいですし、理屈だけで判断することも難しいのです。
そこで、親としては息子が他に何を求めているのかを気付き、違う選択肢を用意してあげるのも良いでしょう。
通っている学校を辞めたいだけで、高校生を辞めたい訳ではないなら転校することで問題の解決になります。
学校の先生や友人など、人間関係に悩んでいる場合には環境を変えるだけでも大きな効果です。
いじめに関してもこちらに入るでしょう。
いじめられているとは、なかなか言い出せないものです。
しかし、息子さんの言葉に耳を傾ければいじめ的なものがあるかどうか、何となく気付けるはずです。
いじめの社会的な問題の是非や解決策はさておき、自分の息子がそのような立場にあるならやはり環境の変化こそ大切です。
受験に落ちてプライドが傷ついているので学校を辞めたい告げてきたのであれば、こちらも転向を視野に入れてあげるとよいでしょう。
親御さんとしては「逃げないで現実と立ち向かえ」と思うかもしれません。
その気持ちもよく分かるのですが、多感な思春期の高校生にとっては、受け入れられない現実なのです。
不貞腐れながら学校に通って卒業してもらうよりも、学校を変えることによって気持ちの変化を待つ方が建設的です。
但し、転向を認めるのであれば「卒業すること」をしっかりと条件にしておきましょう。
この約束をしておけば、次の学校で「辞めたい」と告げてきた時、約束を盾に親としての思いを主張できます。
【最後に】
高校生は多感な時期です。
特に問題になるようなことではないことにくよくよしたり、ちょっとしたことが大問題になってしまう年頃です。
それらを「大人の視線」で考えて息子さんに言葉を投げかけても、話し合いが収まる訳がありません。
まずは息子さんがどのような気持ちなのか耳を傾け、親として息子さんの「真意」に気付きましょう。
息子さんとディベートをしている訳ではないのです。正論をぶつけて言い負かしたところで、息子さんの心を動かすことが出来なければ意味がありません。