子供・教育・育児

子供の教育に対する夫婦間の意見の違いを解決するヒント

子供の教育に対する夫婦間の意見の違い例

子供の学校教育や進路に関して夫婦間でその考え方が異なり、それが揉め事に繋がる事が少なくありません。

子供の教育に対する夫婦間の違い

多くの場合は、母親が私学の有名進学校に入れようと必死になっており、父親はそこまでしなくても公立校に進学させ、本人の能力に応じた進路に進めば十分で、子供をそこまで勉強漬けにする必要はないと言う考えで、意見の相違により、それが夫婦間で不協和音となる事が多いのです。

もちろん、上記の事例で男女が逆の考え方のケースもあるでしょうが、比率としては上記の例の方が多いでしょう。

こうした教育や進路に関する意見の相違は、人生観や社会経験によって考え方が違ってくるため、意外とお互いが納得できる結論に到達する事は難しい事が多いのです。

しかし、少しでも夫婦間での意見の違いが大きなもめ事とならないために、話し合う場合に注意すべき点や、まずは共通認識の為にお互いが考えるべきポイントを記載し、解決に向けたヒントとしてもらえればと思います。

子供を進学校に入れようとする理由は何でしょうか?

合格を目指す子供

子供を進学校に入れようとするのは、少しでも良い大学に進学させる事が目的でしょう。こうした場合に、良い大学とは偏差値が高い大学を指しているのが一般的です。

それでは、なぜ偏差値の高い有名大学に進学させようと考えるのでしょうか?その多くの理由は良い会社・一流の会社に子供が入れる事を願っての事が多いものです。
中学受験をさせる場合には、何と中・高・大の10年間を経たその先の為に、カリカリと勉強漬けにしているのです。

有名私立大学の付属中学校に入れば、高校・大学と内部進学が可能で、比較的後々が楽だからという理由の場合もありますし、東大や京大への進学者数の多い有名高校に入れる事が目的の場合もあるでしょう。

いずれの場合も、そうした偏差値が高く、一流大学と言われる大学に入る事が目的です。そうした大学に進めば、一流企業への入社の道が開け、高収入と安定が得られ、子供は幸せになると考え、今を我慢し勉学に励むべきと考えて居られるのです。

これは、子供の幸せを願う親としては、ある意味理解できる事でしょう。しかし、こうした考え方にもいくつかの疑問符が存在する事を理解する事は重要です

一流企業に勤めれば幸せになれると言う考え方の疑問

一流企業を目指す

一流の大企業に入れば、収入も相対的に良く、安定した収入が得られ、幸せな家庭を築き、幸せに暮らせると言う考え方に疑問点はないでしょうか?

確かに、相対的に収入が良く、安定している側面はあるでしょう。しかし大企業になればなるほど、転勤は多く、子供の学校の事を考えると、単身赴任の覚悟が必要です。またグローバル化の中で、海外勤務も増え、世界中どこに転勤しなければならないかも知れません。

もちろん、バリバリと世界を股にかけて活躍する事が苦にならなければ問題はありませんが、全ての人がそうとは限らないのです。

また大企業内では競争が激しく、その中で競争に加わって、実績を上げ、出世する事は極めて大変な事なのです。こうした競争と、厳しい仕事に対する要求から、うつ病になる人も決して少なくないのです。

こうした厳しい環境で、活躍できるスキルと精神力がなければ、挫折する事も少なくないのです。一流の大企業に入って幸せになれるのは、こうした状況に対応できる人でなければならないのです。

競争の激しい大企業に向く性格の人と、そうでない人がいるのです。一流大学から一流の大企業に入社できれば、幸せになれると言うものではない事を、夫婦間の相互理解として持つ事が大切と言えます。

企業や仕事の将来性は分からないものです!

また仮に一流の大学から一流の大企業に入社でき、その子供が上手に適応できるタイプであれば、それはそれで結構な事です。

しかし一流の大企業といえども、入社して定年退職までの40年近くの間、経営が順調であり続ける保証はないのです。

近年でも三洋電機が実質的に消失し、シャープは台湾企業の傘下に入り、また東芝の将来も見えません。こうした企業はもちろんの事、生き延びている電機業界の企業でも、V字回復のために大規模なリストラを何度も実施しているのです。

グローバル企業競争の中で、業界全体の将来性は見通せませんし、ましてや企業単位で見れば何十年も先の将来など見通す事は不可能です。

さらに企業に入社すれば、職種もある程度固定化されます。近年AI技術によって将来なくなる仕事が話題に上がります。苦労して大企業に入ったものの、それがAIに置き換えられて、リストラ対象となるリスクも皆無ではない時代なのです。

学校教育や進路に対する考え方のヒント

大学の授業風景

以上の記事を見て、余りにもネガティブな発想だと考えられる方も居られるでしょう。確かに、夫婦間で学校教育や進学に対する考え方が異なるために、夫婦間に隙間風が入る場合を想定し、そうした場合の共通認識の為に決して一流の大企業に就職する事が幸せに繋がるものでないリスクを書いたため、若干その嫌いはあります。しかしこれは紛れもない事実なのです。

一方で、一流の有名大学に入れば、就職時の門戸は広くなる事は事実です。三流大学からは就職が困難な大企業に一流大学出身なら就職できる可能性は上がる事は事実です。

子供の可能性を広げてやるために、金銭的に可能な教育を受けさせてやることは決して悪い事ではありません。しかし、それは一流の企業に就職させる事で幸せな人生を得るためではなく、進学時に子供の可能性を高め、選択肢を多く持てるようにしてやるためだと考えるべきではないでしょうか。

こうした考え方をヒントとすれば、全てを犠牲にして一流大学を目指す必要はないと言えるはずです。子供には益々大きく変化する社会に対応できる対応力と言った偏差値では表せないスキルも身に付けさせてやることが大切と言えるのです。

夫婦のいずれかが、近視眼的に一流大学・一流大企業の幻想に取りつかれている場合には、こうした現実を話し合う事で、本当に子供のためになる教育の考え方に、お互いが近づける一助となるはずです。

以上が夫婦間で話し合う時に、共通認識として押さえておくべきポイントであり、また合意形成に向けた学校教育や進学に関する考え方のヒントです。

以下の項では、もう少し具体的に見て、合意に向けた説得のヒントを記載したいと思います。

父親が教育熱心すぎるケース

父親が教育熱心すぎる場合には2つのケースが考えられます。1つは、自分がそうした道を歩み、成功したと言う自負を持っている場合です。

サラリーマンの場合には、自分が企業内で出世していても、こうした理由で子供に一流大学・一流企業を強要する事は少ないはずです。医者や弁護士や自分が企業のオーナーの場合に、こうしたケースが見られます。
こんなケースで妻の側が説得するには、子供の自由な生き方を尊重してやる事を訴えてやるしか方法はないでしょう。

もう1つは、自分が三流大学しか出ていないために、一流の大企業に就職できず、そうした道を歩んだ友人に比べて収入も少なく、出世も中々できないと言う想いを持っている場合です。

一流の大企業に就職できなかったのは別として、夫が就職先で出世できないのは、卒業大学のせいではなく、自分の実力に因るところが大きい事を大学のせいにして逃げているからです。

この場合には、夫が出世できない点は、実際には日々の努力にあるのですが、それをもろに指摘しては話が益々混乱します。
こうした夫の教育熱を和らげるには、私たち家族は今のお父さんで十分幸せである点を強調して説得するのが良いでしょう。

母親が教育熱心すぎるケース

母親が教育熱心すぎる場合には、自分の夫が一流の道を歩んできて、そのお陰でお金の心配もなくゆとりある幸せな生活を送られていると考えている事があります。

この場合には、夫が社会や企業と言うものを妻に理解させ、その将来性も不確実である点を説明します。その上で、自分の周囲にいる一流大企業でうつ病になったり、仕事の厳しさについて行けずに苦しんでいる人の例を示せば、比較的説得し易いと言えるでしょう。

しかし、逆に自分の夫が一流大学・一流大企業の道を歩めなかったために、近所の旦那さんに比べて収入が少なく、そのために自分や家族は色々と我慢せざるを得ず、それが一流の道を歩めが解消できると考えているケースもあります。

この場合、話し合いの中で、妻はそうした考え方を持っていても、それを口にする事は絶対にしてはいけない事です。これを口にすると、男性はプライドが傷つけられた感じを受け、感情的になり、話し合いが出来なくなってしまいます。これは夫婦間で子供の教育や進学について意見が異なる場合に、最も揉め易いケースです。

妻がそんな感情を持っていても、それを口に出さない賢さがある場合、夫は前述の社会や企業や仕事と学歴の関係や、そうした事と幸せの相関性が少ない点を冷静に説明し、子供が努力して進める進路で幸せを掴めるバックアップをしてやる事が、親の務めではないかと説得すれば良いでしょう。

まとめ

本記事で私が記載しているのは、一流大学・一流の大企業の道を目指して、努力する事が無駄だと言っているのではありません。

子供が普通に努力して、そうした道を進めれば、それはそれでOKです。しかし、だからと言って、必ず人生の成功者として幸せになれるものではない事を知って欲しいのです。

親は子供の生涯を見てやることはできません。子供には努力して可能な範囲で、子供の将来の選択肢を増やしてやれる教育を受けさせてやることは良い事です。

しかし、全てを犠牲にして中学受験から一流大学・一流企業を目指すと言う感が方には少し違和感を感じます

けれども、それは私の考え方であり、子供も夫婦ともどもその道が良いと思えるなら、その道を進まれるのも良いでしょう。ただ、子供の考え方、夫婦間の考え方に違いがあるなら、決して無理してそうした道を進む事は良くないと思います。

本記事が、そうした考え方の違いある場合に、特に夫婦間で話し合う場合のヒントになれば幸いです。

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